魔王、死す。

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 柱は崩れ、ぐらぐらと揺れている古ぼけた石部屋。  まるで装飾のように、その部屋の至る所には人間の骨が散らばっている。  そこに、激しい剣撃を交わしている者達がいた。 「覚悟しろ! 魔王!」  黒髪の青年がそう叫びながら厳かな装飾の施された剣を掲げる。そこから放たれた光は、対峙する強大な魔力を持つ者――魔族の王の動きを封じた。  幾本の光に貫かれ、壁に磔にされる。 「私を殺しても、私の生まれ変わりが世界を滅ぼすだろう……準備は整っている、さぁ、殺せ! そなたが勇者だ! そして次の私を目覚めさせるのだ!」  狂ったように高笑いをあげる異形の王。  勇者は躊躇いながらも自身が持つ剣を魔王の胸に突き刺した。  影は光に埋もれ、光は闇を全て滅した。闇に覆われた城が光を取り戻していく――。 「まずい、城が崩れる……!」  勇者はその剣を魔王の胸に突き刺したまま、その部屋を後にする。階段を飛び降り、道をふさぐ石像をどかし、長い通路を通り抜け。  その瞳は、太陽を捉えた。暖かな光。  そして、太陽を背に迎えの兵士達が駆け寄ってくる。  ――いつでも人間は他力本願だ。  そう、勇者と呼ばれる人間は結論を出して、歩みを進める。  こうして、人間界に現れた魔族との長く厳しい戦いは終わりを告げた。  魔王の残した言葉に、一抹の不安を覚えながら――。
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