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【まさかその人間を食わせてくれるのか?】
狼達はよだれを垂らしながら一歩足を踏み出す。弟子は動かず、その言葉に頷き。
「ただ、条件があります」
その言葉に、狼達は足を止めた。いや、その言葉に、ではなかった。
【奴が来る……奴が来るぞォ!! 逃げろ我が子供達よ!!】
リーダーらしき大狼の声に、狼達は一斉にパニックになったかのように散らばる。
だが、その狼達の首は無惨にも風の刃により切り落とされ。大狼はただただ、自分の子供達の最期を見つめていた。
弟子の顔は、ただ上の一点を見つめていた。そこにいたのは、いや、そこにあったのは丸い、黒い球体。
そう、それは無機質な球体だった。直径一メートルほどのそれは、弟子の前にふよふよと浮かんでいた。黒い金属のように、鈍く光って。
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