その町、魔物の巣につき。

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「だから君はもう少し師匠を敬えよ!」 【最後まで話を聞け!】  一人と一匹による説教に、耳のシャッターをおろす弟子。 「で。……これから貴女はどうするんですか?」  弟子は面倒そうに、最早敵意のなくなった大狼に問う。  師匠はよくわからないまま、首を傾げていた。ずっと寝ていた――否、気絶していたのだから仕方がない。 【……私の子供達は死んだ。もう、戻ってこない。だが、運が良かったのか悪かったのか、私だけが生き残ってしまった】  俯く大狼。師匠は辺りに散らばる狼達の亡骸を見てだいたいのことを何かを察したらしく。 「これ、弟子君がやったの……?」 「違いますよ、勘違いしないでください馬鹿師匠。このゲロ」  弟子は師匠に蔑んだ視線を送る。本当にこの弟子は師匠を敬わない。 「本当に一言、いや二言余計な子だな……疑ったのは悪かったよ」  師匠は半分慣れつつも、ため息をついた。
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