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カッ……カッ……カッカッカッ……――
涼介のドラムスティックを打ち合わせる音を合図に、広志、成矢、レオンが、ピックを持った右手を振り下ろす。
激しく弦が震え、アップテンポのロックが、完全防音の空間に満ちる。
しょっぱなから、ハイテンションで飛ばすのは、レオン。
普段のやんちゃさもそのままに、音が一つ二つ飛ぼうが構わず、小柄な身体に見合わない力強さで、ギターを掻き鳴らす。
確実に一つ一つの音を響かせるのは、広志。
ふしくれの目立つ長い指が、一つも漏らすことなく素早く弦を押さえ、ピックが絶妙な強さで弦を弾き、普段の冷静さを忘れない確実な音を生み出す。
アップテンポにも関わらず、ダウンピック(ピックを下ろす時にだけ、弦を弾いて音を鳴らす)だけで見事に、全体のベースになる音を奏でるのは成矢。
激しいビートを、全身を使って刻んでいるのに、どこかに余裕がある、綺麗で乱れのない音と姿。
ピックを使っている内は、まだ理性が先行しているので、クールビューティー。
安定したリズムで要を支えるのは、涼介。
リズミカルで力強い足とスティックさばきで、アップテンポの激しいリズムを素早く、尚かつ正確に叩き出す。
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