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四人の音とリズムが、互いに補い合うように絡み合い、一つの曲を造り上げる。
愛真が退院してから半月が経ち、完全回復した愛真の快気祝いとバンドの結成祝いを兼ね、集まった今日。
バンドとして初めてのセッションを迎え、骨折した胸のコルセットが、ようやく取れたばかりの愛真の身体を考え、一曲だけにしたものの、誰もが興奮と僅かな緊張を抱いて、愛真の家の地下、正面の壁がマジックミラー張りになったスタジオに、顔を揃えたのだ。
と、それまでただ静かに目を閉じ、四人の奏でる音に乗り、漂っていた愛真が、ゆっくりと目を開けた。
それと共に開かれた唇から零れたのは、
「夕暮れの公園 独り 取り残された子供」
澄んだ低めのアルト。曲は、愛真と成矢が共同で作詞作曲した、バンドオリジナル『Cry for the moon』。
愛真の意志を汲み、バンドの名前は『Black・Angel』略してB・Aに決めた。
この曲はB・Aとして初めて作った曲で、完成したのは一週間前、正式に愛真の声を乗せるのも初めてだった。
しかし愛真は、もう何度も歌い込んでいる曲のように、滑らかに、愛しそうに歌う。
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