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鈴木に連れていかれた場所は高級レストランだった。
はじめの今までの人生で見たことないような豪華な料理達がテーブルにズラッと並ぶ。はじめは緊張は隠しきれないまま、ゆっくりと料理を口に運ぶ。味がイマイチ分からずにいた。
鈴木はそんなはじめをあやすように言った。
「普通に食べろ。ここには俺とお前しかいない。畏まる必要もない」
そうは言われてもなかなかくつろげないのが、はじめの本音だ。
鈴木はさらに話を進めていく。
「一体どうしたんだよ。これはあくまで俺の勘だが、お前はそう簡単にへこたれない奴だと思っている。なぜあの場所に来たんだ?」
「鈴木さんこそ、どうしてあの場所に…」
「…日本に帰ってきたら一番にあそこに行こうって決めているんだ。今年もありがとうございました…来年もどうか無事に野球出来ますように…ってな」
鈴木は感慨深げにそう言った。鈴木は神戸が優勝したころ、緒方総一郎と並ぶほどの看板選手だった。
名実ともに神戸を引っ張ってきた名プレイヤーだった。
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