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「そして俺が来る頃には絶対に会わない奴がいた。それがお前だ、はじめ」
はじめは固唾を飲んで、鈴木の言葉を待った。
「十年前、ここには来ないと誓ったお前がいた。これも運命なのか、それとも緒方さんが俺達を引き寄せてくれたのか…俺はそんな気がしてならないんだ。緒方さんがお前を助けろって言っているような気がする。
だから今日だけは特別だ。お前の話を聞かせてくれ」
はじめは一瞬悩んだ。
だが自分一人で抱え込んでも解決しないと分かっていた。ならばこの人に話してみようと思った。
それで答えが見つかるなら安いものだと思った。
はじめは野球部で起きたことを思いつく限り話した。
田口悠介が巻き起こした事件のこと。それから離れ離れになった仲間達。
それでも奮起しようとした。自分の夢、本山水樹のことがどうしても諦めきれなかったこと。
だが突然降り懸かった親友・前田賢一の退部。何も理由を明かさず、はじめの前から姿を消した親友がはじめの心を強くえぐった。
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