プロローグ

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「なんでなんだよ!」 冬。球児達が力を蓄える時期である。 最も練習試合すらも禁じられているかすみ高校にとっては、実戦練習すらも程遠いことである。彼等はより一層基礎トレーニングに励まなければならない。 練習が終わった後に事件は起きた。エース・緒方はじめの声が響き渡る。はじめを前にして怒声を浴びられる者以外は、皆沈黙を守っていた。 だがエース・緒方はじめを前にしても、彼は顔色一つ変えず、冷静に言葉を放った。 「もうめんどくさいんだよ」 彼が力無く放った言葉は緒方はじめにとって、錘がのしかかるようなダメージがあった。 「このチームで野球やっていくのも、甲子園目指すとかさ、俺にとってはもう全部阿保らしくてやってらんねえんだよ。やりたきゃ勝手にやってろ」 その時緒方はじめは無意識に左腕を上げていた。 そして翌日、前田賢一は野球部に来なくなった。
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