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「いいか、緒方はじめ。お前は勝たなくてはいけない人間なんだよ」
「…勝つ?」
「そうだ。緒方さんのためにも、美波さんのためにも勝たなくちゃいけないんだよ。勝たなくちゃいけない人間がこんなところでメソメソ泣いてんじゃねえ!!」
勝たなくてはいけない。
少年の心にその言葉がなぜか引っ掛かった。
「俺も…緒方さんにあんな死に方されて悔しいんだよ…。だから俺もあの人のために勝つ人間になる」
後に彼は緒方総一郎に恥じないほどの選手へとなる。それは総一郎が残した緒方はじめのためにも。
それから十年の歳月が経った。二人はまた再会を交わす。
「鈴木さん…」
はじめの前に現れたのは、総一郎のかつてのチームメイト。神戸で天才プレイヤーと騒がれた後、今も海外のメジャーリーグで活躍する世界トッププレイヤー・鈴木秀樹だった。
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