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「こんな辛気臭いところにいて、緒方さんはお前に何か語るのか?お前に元気でもくれるのか?お前の小さい小さい悩みでも聞いてくれるのか?
ふざけんじゃねえよ。お前、前にも一度言っただろ。
″父さんはこんなところに眠っていない。僕の心の中に生きているんだ!″って。
じゃあ今お前がやっていることはなんだよ?亡霊なんかと世間話してる暇があるなら、自分のやるべきことをやれ。
お前は勝たなくてはいけない人間なんだよ」
十年前、この場所で言われた言葉と同じだった。緒方はじめは十年前と変われていない自分が急に腹ただしく思えてきた。
「俺…また同じこと言われている…」
「…成長してるのは身体だけか。久々に会ったかと思ったのに、何やってきたんだよ」
鈴木の口調が急に変わる。言葉には棘があるが、その言葉には温かみがあった。
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