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傷がなくなった涼介を見て、大貴は満足そうに微笑んだ後、光の方を向く。
光の方も、砂の片付けを終えて、最後に、小さな弱い炎で燃えているガラス玉のようなものをつかむ。
すると炎は消えて、ただのガラス玉へと変わった。
「…ガラス玉がある限り、また新しく生を受けて、生まれかわれる……」
「光君、はい…瓶だよ」
「サンキュ…」
光は大貴から瓶を受け取ると、瓶の中にガラス玉を入れ、蓋を閉じる。
「俺は協会に持っていくから、大ちゃんは山田をお願い」
「うん」
光がパチリと指を鳴らす。
その瞬間、何事もなかったように、通行人が路地へと歩いてきた。
大貴は涼介を背負い歩きだす。
フードのついた服でなく普通の服で。
光もまた、普通に歩き出した。
同時刻 別の場所
「…」
黒い服、鎌をもった人が、弱い炎を帯びたガラス玉を手にとる。
「新たに生を受ける…?そんなわけない…」
その人物は、鎌の先で、そのガラス玉を粉々に吹き飛ばす。
その風でフードはめくれ落ちた。
「…ゴメンね」
圭人は泣きながら、そう呟いた。
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