予兆

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体育の授業、侑李は裕翔に背中を押してもらいながら前屈をこなす。 「そう!何か最近、異常気象が多いでしょ?それって、空間が切れてるんだって」 裕翔が、キラキラッと目を輝かせて話す内容を、侑李は半ば受け流しながら聞いていた。 「ちぃ~…聞いてる?」 「さぁ、興味無いよ…それより、僕は今日どうして、山ちゃんが休んでるのかを知りたいな」 侑李はいつも、近くに居るはずの涼介の姿を探しながら呟いた。 「風邪かなー?……風邪と言えばさ、伊野尾ちゃん、体調崩したらしいよ」 「へぇ…適当人間なのに風邪ひくんだ」 「それ失礼だよ、ほら…代わって」 裕翔と侑李はポジションを交代すると、今度は侑李が裕翔の背中を押す。 「だいぶと魘されてるみたい」 「何で…?」 「さぁ、光君は詳しく言ってくれなかったから…」 侑李はギューッと裕翔の背中を押した後立ち上がると体育館に寝転がり、天井を見上げる。 「…何も無いといいけど」 「?……知念?」 「…なんでもない」 侑李は震えたと手を握ると額に押し当てた… 「怖い…居なくなるなんて許さないよ……みんな」
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