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陽炎
「ハァ…ハァ…ハァ……」
気味が悪いほど赤い夕日
真っ赤…深紅の夕日
よく知る道
当たり前だ、今俺は帰り道を走っているのだから…
でも…いつもと違う。
「うっ…」
物陰に隠れる…
撒いたか……?
破れた制服のシャツ
ぱっくりと切れた肩からは赤黒い血がドクドクと流れる。
「なんなんだよ…」
サラ…ッ
「!!!」
来た…!
まだ撒いていなかった
「クソが!」
彼、涼介は走り出す…
いや、逃げているのだ
目に見えぬ敵から…
否、それは少し違う。
敵は人型であるが人でなかった。
「ハァっ…ハァ…」
砂を身につまとった人型
砂人間…とでも呼べば良いのだろうか
涼介は、その砂人間に追われていた。
ふいに…ただ、帰っている時に…
「あっ…!」
足がとられ、前のめりに涼介は倒れる。
足を見ると、砂が足を包み、肩と同じように切れて血が出ていた。
「一体…なんなんだよお!!」
砂は大きく膨らみ、涼介を見下ろすように立っていた。
『オマエハ…アイツノナカマ』
「…っ」
恐怖の中、涼介は低い暗い、声を聞いた。
「うわああああああああ」
包まれる…
死を感じた………
「手を出すのは許さない」
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