小さなちから

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「神さまのばかーっ。パパを返してよっ。ちぃちゃんのお友達をかえして!」 ボロボロ泣きながらちぃちゃんは海に向かって叫びました。 しゅん、と神さまたちはうつむいて唇を噛みしめました。 こんな小さなちぃちゃんの祈り1つかなえてあげることは出来なかったのです。 ほろほろと涙を流した神さまは気がつきました。 『地震がくる!』 山の神さまが気づくと、そこにいた神さまにも、そこにいなかった神さまにもそれが伝わりました。 『津波も来る!』 海の神さまも気づきました。 ちぃちゃんはまだ海に向かって叫んでいました。 「ちぃちゃん、逃げるんだ!」 けれど神さまの声はちぃちゃんには届きません。 「ちぃちゃん!」 「ちぃちゃんっ!!」 必死で叫ぶ神さまの声はひとかけらも届きません。
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