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汗を散らし、アシュレイは左へ大きく跳躍。瞬間、銀の剣線と共に右袖の一部がはらりと落ちる。
――一歩遅れれば斬られてたぞっ!
心の中で叫ぶ。アシュレイは鼓動が早まるのを感じた。
まだレオの攻撃は終わらない。
一瞬落ち着こうと後退するアシュレイ。
だが、レオはすでに彼の前にいる。力の籠もった剣は上段に構えられてまでいた。
何とも速いレオの攻撃に、またも大量の冷や汗が吹き出す。
「くっそやろっ!」
大声で悪態をつき、アシュレイはあえて防御の体制をとらずに姿勢を下げた。
次いでレオの剣目掛けて剣を振り上げる。
耳障りな金属音と共に、アシュレイに触れる寸前で弾き返されるレオの剣。
予測外の行動にレオの顔からは余裕が消え去っていた。
アシュレイは、無理に弾き返した剣の衝撃に顔をしかめている。
互いにその表情を見た瞬間、同時に二人の頭を一つの言葉がよぎる。
――先手必勝!
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