143人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
即座に感覚的なもので、二人は剣を振るう。
アシュレイは下から、レオは上から、だ。
これじゃまた同じだ!
一瞬の判断。
アシュレイは剣が衝突する寸前でサッと身をかがめた。
そして振り下ろされかけているレオの剣を軽く押さえ、一瞬の隙にするりと相手の懐へ。
全くアシュレイの思惑通りである。
不敵な笑みを浮かべ、レオの胴に力を込めて肩から突進。
「うあっ!」
異常なほどの威力に、大きく後ろにのけぞるレオ。
狙っていた最大のチャンスに口元を嬉しげに歪ませたアシュレイは、人並みはずれた瞬発力で、レオとの少し離れた距離を一瞬で詰める。
その流れのまま、剣を自分の背中側から首目掛けて大きく振りかぶる。
――しかし。人を斬ることに恐怖を抱いたか、振り下ろすにつれて少しずつ剣の速度が落ちてゆく……。
それを仰け反ったまま、目の端で捉えたレオの口元が不敵な笑みを浮かべる。
アシュレイが気づくはずもなく――
一方の剣が宙を舞い、強く耳障りな金属音がこだました。
最初のコメントを投稿しよう!