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レオはその茶髪をぐしゃっとかき混ぜ、本当に悔しそうな様子である。
対し、アシュレイは自慢気な様子かと思えばそれは違った。
なにやらこちらも口を尖らせ、少々悔しげである。
「まぁ今日でこれやるのは五回目、その内四回――今回以外はレオの勝ちだったんだしいいじゃんか」
「まあ、その負けがあったからこその勝ちだろ? 負けも、この悔しさも大事なもんだな」
「うん。でも……」
突然アシュレイの声の調子が重くなる。
「いつか実践――本当に悪魔と戦うときには負けられないよな……」
「何言ってんだよ。その時のための特訓だろ? 対悪魔組織、エンジェルスに入って俺達みたいに悪魔のせいで親のいない悲しい子どもを無くすんだって決めただろ?」
レオはアシュレイの伏せられた目をまじまじと見つめ、次に笑顔で続けた。
「それに、俺とお前のコンビなら絶対負けない! これからだってまだまだ強くなれる!」
明るいレオの言葉。アシュレイは、これまで何度となくこのような言葉に勇気をもらってきた。
この時も、少し不安げだった気持ちを一気に吹き飛ばしてくれたのは言うまでもない。
「ありがとな、レオ! 『朱(あか)い悪魔』と『碧(あお)い天使』の戦争……。俺らが『碧』、エンジェルスに属すればきっと悪魔たちも手が出せないなっ!」
レオはその通りだと言わんばかりに顔をほころばせたが、それはすぐに悪戯っぽい笑みに変わってしまった。
「……じゃあ、例えば俺らが『朱』、悪魔の仲間になったらどうなると思う?」
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