散花

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「なんでこの教室にいたの?」 「こっちのほうがウチより眺めが良いんだもん」 「月詩は何組?」 「Aだよ」 「じゃあリュウと同じクラスだね」 「リュウ?」 「そう、高見龍一郎」 「………」 「あれ?知らない?」 「う、ううん。覚えてるよ」 「覚えてる?」 「あっ、えっとぉ…確か、髪の毛が茶色い人でしょ?」 「そうそう。あいつのあれは地毛なんだ」 「へ~知らなかった」 「でも、リュウに用事があってA組にはよく行くけど、月詩を見たことはない気がするなぁ」 「そう?私は何回も千尋クンのこと見てるけど」 「え、本当に?」 「うん」 「全然気づかなかったよ…ごめん」 「謝らなくて良いって。それに本当のこと言うとね、私こないだ引っ越してきたばかりなの」 「そうだったんだ?」 「だからまだクラスの人の――特に男子の顔と名前が一致しなくて」
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