春雪

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荷物を取りに教室へ向かう途中、廊下で現代文の教師に会った。 「こんにちは」 「おお服部。こんな時間まで生徒会の仕事か、ご苦労さん」 「いえ、書類に目を通していただけですから」 「校内に残っているのはもうお前だけだと思うぞ。気をつけて帰れよ」 「竹井先生はまだ帰らないんですか?」 「いや、俺も見回りが済んだらすぐに帰るさ。今夜はテレビでサッカーの試合をやるからな」 「でも、こんな天気じゃ今日は中止じゃないですかね」 「…そうか?――まあいいや。お前も寄り道せずに早く帰れよ」 「はい、失礼します」 頭を下げて立ち去る僕を、現代文の教師はなぜか不思議そうな顔で見送った。      
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