195人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
「キノ!飲まんかい!」
「…いや、ちょっと酒はまだはや…」
「ワシは三歳から飲んでたど!ほんで五歳で女を抱いた!」
(絶対嘘やん!?ぜっっったい嘘や!!)
「五歳でって、そんなんありえないでしょ?」
「キノ!」
「はい!」
「男は言うたもん勝ちや!」
「えぇ!?」
小林が僕に話し掛けてきた
「俺も昨日、下着ドロボーしたで」
「それ犯罪!それは犯罪!」
「キノちゃん、言うたもん勝ちや~ん」
「お前…酔ってんのか?」
再び馬が
「キノは何歳で何をやったことあるねん?」
「…えっ?」
(ひょっとしてボケなあかんの?)
「キノ!お前は何歳で…」
「分かりました!分かりました!…僕は昨日、女湯覗きました」
「なに~!キノ!お前それ犯罪やないか!」
「キノちゃん、ありえへんわそれ!」
(この親子は…!?)
結局、その後もいじられまくり、酒も飲まされ、最悪な一日だった
帰り際に馬が
「キノ!お前は軟弱な奴や思ってたけど、ほんまは軟弱な奴やってんなぁ」
(…突っ込んだ方がいいんか?)
「でへへ~。キノちゃん、また明日も遊びに来てな~?」
「…………」
そして僕は家に帰った家に着いて自分の両親を見て
(俺はなんて幸せ者なんだ)
と、嬉し泣きをした
それからも小林家に行く度に、ラーメンを食べ、酒を飲まされ、親子の暴走劇を見させられた
「軟弱やの~」
このフレーズは十年経った今も、脳にこびりついている
五年以上会っていないが、多分相変わらずやっていることだろう
お馬さん…いろいろとありがとうございました!
伝説の男……の、親父
完
最初のコメントを投稿しよう!