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渡邊すみれは何も言うこと無く自分の机へと向かっていった。
俺を掴んでいた秀雄の手は、力が抜けて自然に落ちた。
秀雄のこの動揺はかなりおかしかった。
渡邊すみれが教室に入って来てからずっと沈黙が続いていた。
ガラガラガラ
その沈黙を破ったのは、誰かが開けた教室の扉の音だった。
皆の視線が集中する。
「あれ、みんな早いな。もしかして俺ら最後?」
「わぁ、ホントだ。」
入って来たのは、工藤浩樹と皐月だった。
「浩樹~~遅いぞ~~」
聖が茶化した。
「何々~もしかして二人出来てんの~?」
「うっそー!」
数人の女子も茶化しにはいる。
皐月って……結構可愛いんだよな……普通に付き合ってても何もおかしくない。
「ちょ、止めてよ!別に何も無いし!」
皐月は全否定だった。ちょっと浩樹が可哀相に見えた。
「桃山全否定じゃん。ハハハハ!」
聖がまた浩樹を茶化した。
だけどおかげでクラスがちょっと和んだ。
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