スタート

7/21
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
渡邊すみれは何も言うこと無く自分の机へと向かっていった。 俺を掴んでいた秀雄の手は、力が抜けて自然に落ちた。 秀雄のこの動揺はかなりおかしかった。 渡邊すみれが教室に入って来てからずっと沈黙が続いていた。 ガラガラガラ その沈黙を破ったのは、誰かが開けた教室の扉の音だった。 皆の視線が集中する。 「あれ、みんな早いな。もしかして俺ら最後?」 「わぁ、ホントだ。」 入って来たのは、工藤浩樹と皐月だった。 「浩樹~~遅いぞ~~」 聖が茶化した。 「何々~もしかして二人出来てんの~?」 「うっそー!」 数人の女子も茶化しにはいる。 皐月って……結構可愛いんだよな……普通に付き合ってても何もおかしくない。 「ちょ、止めてよ!別に何も無いし!」 皐月は全否定だった。ちょっと浩樹が可哀相に見えた。 「桃山全否定じゃん。ハハハハ!」 聖がまた浩樹を茶化した。 だけどおかげでクラスがちょっと和んだ。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!