超能力

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「いらっしゃいませ」 トランプ模様のスーツを着た女性店員が、丁寧に頭を下げて出迎えてくれる。 雑音で声が聴こえてねぇーよ。それ、意味あんのか? 男はさらに奥へと歩いてゆく。 でもあれだ!金を貰うためには、店の方針に従うしか無いんだろ? 一度振り返り、挨拶をくれた女性店員を眺めた。 あのスーツ…… やっぱ、センス無いぜ。 ダサい制服が嫌でも、それに従うしかない。それが労働者ってもんだ。 大変だね~。いや~ほんと、ご苦労なこった。 誰かの言いなりになって働くなんて……。俺には無理だな。 ポケットの中身をジャラジャラと鳴らし、自由な男は店内の物色を続けた。 まぁ……、 だからと言って、挨拶もしない店員が居る店で、パチンコを打ちたいとは思わないけどな。 そう思いながら、受け皿にタバコとライターを乗せる。 イヤホンを外すと、【332】と表示された台に、座ると決めたのだった。
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