終わりの始まり

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むせかえるような薔薇の香りー……。 ルーゼット王国中心部に聳え立つ古城の温室に深紅のロングドレスを身に纏う美女と純白の燕尾服で美女の後ろに控えている執事の姿があった。 美女の名はエリーゼ クライン。 ルーゼット王国の若き皇女である。 エリーゼのその美貌は息を呑む程のもので18歳という年齢からは想像がつかない程、大人びていた。 深紅のロングドレスは、 彼女の白い肌を魅力的に魅せ、 腰までの長さの銀髪を耳にかける仕草さえ様になっている。 温室で薔薇がいくら咲き乱れようとも、 彼女の美しさには敵わないようだった。 ーカチャ…ー 紅茶が注がれていたであろうティーカップを優雅に皿の上へと置き戻して、 エリーゼは口を開いた。
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