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「…セイン。
明日のお誕生日会の事だけど……、
ゲストの皆様へお出しするディナーは、
お決まりになって?」
エリーゼが涼しげな声でそう訊くと、 セインと呼ばれた執事は微笑みながら、
答える。
「はい、エリーゼ様。
リスタインベール城に仕える使用人らが、貴女とゲストの為に腕を奮った一品ばかり…。きっと気に入られる事と存じます」
セインはポットに手を伸ばし、
高い位置から空になったティーカップに溢す事なく紅茶を注いだ。
甘いアプリコットの香りが、 ふわりと温室に広がる。
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