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家の前まで来て立ち止まる。何かを忘れているような気がして。でもそれがなんなんのかわからず。きっと、もう一度戻ったらすべてわかるような気がした。
でも、なんだかそれが怖くて。傘を渡してすぐあの場を立ち去ったのも、ずっとあそこにいるのが怖かったからなのかもしれない。
でも、体は何かを求めていて。自然とまた来た道を振り返っていた。
そこには、赤い傘を折り畳んだまま持って酷く息を切らしているさっきの人。
雨は止んだ。
雲の切れ間から青空が覗く。
僕の中の雨の日はどうやら終わったようだった。
「傘、意味ないじゃないですか。馬鹿摂政が」
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