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暑い日
数ヶ月前まで優しい暖かさをくれた太陽は、今や敵でしかない。
「うぅわぁあっ!!あ゛っつい!!」
「うるさいです。黙ってて下さい。というかむしろ呼吸しないで下さい。」
「え、ちょっ…ひど…って怖!!」
チラ、と横目で見た妹子さんのお顔はひどく怖かったです。なんていうか…黒い?
「誰が黒いんですか、えぇ?」
「エスパー?!」
「……暑い」
いつもならここで罵声が入るのだが、今の妹子にはそんな余裕はないようだ。赤という色が似合う割に暑さ苦手…あれ、確か寒いのも駄目だよな…耳あてしてたし。
「あ、妹子なんかエロい」
「はぁ?」
「首筋からあs「黙れ」
「い、痛い痛い!まぶたは駄目!反則!」
「あー…あっつい、もう本当蒸発してください太子」
蒸発?!ちょっこの子は…っ鬼!!と、言うのは飲み込んだ。にしても、本当暑そう。このままじゃ脱水症状起こすんじゃないか?あ、そしたら干し芋だな。
「あ、日陰発見。飲み物買って来てやるから待ってろ」
「…お気遣い感謝します」
素直に日陰のベンチに座る妹子。私は近くの自動販売機でお茶とスポーツドリンクを買って妹子の元に戻った。
「ほれ、どっちがいい?」
「…じゃあこっちで」
スポーツドリンクを選んだ妹子。私は必然的にお茶になる。妹子は二、三口飲むとありがとうございます、と一言。
「…大丈夫か?」
顔が赤いので熱でもあるのではないかと思い、妹子の首筋に手を当てるとやっぱり熱かった。
「……冷たい」
「妹子が熱いんです」
「あんたは冷たすぎるんだ」
「でもハートは熱いぞ」
「…はいはい」
本日初めての妹子の笑顔、やっぱり彼には笑顔が似合う、と改めて思った。
「可愛い」
(噛み付きたいほどに、)
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