910人が本棚に入れています
本棚に追加
ガンッッ!
「これ授業の意味あんの」
いきなり涼介くんが椅子を思い切り蹴って、ドアへ歩いていく。
その姿をぼう然と見つめていた僕は、
涼介くんがキレてると認識するまでに時間がかかった。
………止めなきゃ!
「りょ、涼介くん!!!」
教室で言葉を発する人なんて誰もいなくて、
みんな息を飲んで僕たちを伺ってる。
思い切って名前を呼ぶと、ゆっくりと後ろを振り返った。
僕に顔を向けた涼介くんは、
眉間に皺が寄っていて、瞳に何の色も映していない。
大きな不安が胸を駆りたてて。
泣きそうになるくらい、涼介くんの顔は冷たかった。
「面倒くさいからちょっと寝てくる」
そういう涼介くんは絶対に嘘で。
だてに二年間涼介くんを見てきたわけじゃないから、
理由があるのがわかった。
最初のコメントを投稿しよう!