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「今日はちょっと。ごめん」
申し訳なさそうに目線をずらす涼介くん。
本当に何か理由はあるんだろうけど…。
でも、譲りたくなかった。
なぜなら今日は。
「涼介くん、覚えてる?」
そう言うと、眉間に皺を寄せて何かを考えてる仕草を見せる。
あーあ、きっとこの反応なら覚えてないんだ。
悲しくなって、少し俯いて聞こえるか聞こえないかの声量で呟いた。
「今日…記念日だよ。」
「…………あ。」
ほらね。
『しまった』って声が付きそうな表情を見せた涼介くんに苛々して背を向けた。
もういいもん。
もう、勝手にしろ!
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