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確かに、あいつらがやっている行いは殺されでもしない限り他者は納得しないだろう。
だけど…
「俺は心の芯まで畜生にはなりたくない。
人を殺して親からもらった心を汚したくない。」
胸に抱かれ、俺を見つめる三つの首を見る。
これから共に生きていくであろう大事なパートナーを。
「ケルも同じだ。
俺はお前らが人を殺すのなんて見たくない。
だから、“絶対に殺すな”。」
ケルにとっては難しい問題だ。
子どもながらも本能で自分の武器の強さを理解し、それを上手くいかすことを知っている。
けど、そんなケル達は
《バウ!》
俺を見て三つの首が元気よく同時に返事をした。
改めて決意を決める俺とケル。
そんな俺達の耳に声が聞こえた。
「あ、あのう…」
すっかり忘れていた
見張りをしていた盗賊も一緒に逃げたため、自由になったフード(もうその呼び方でいいや)が盗賊に踏まれていた杖を拾ってこちらに話しかけてきた。
「あ、あのさあ君。
イロイロと気になる所があるんだけど一つだけ教えてくれない?」
ケルと俺を交互に見ながらそう聞いてくるフードだが、若干警戒はしているようで杖を持つ手に力が入っている。
「えっとさ、ボクがアイツ等に捕まったときに助けてくれたよね。
ということは、味方と考えて良いんだよね。」
疑問文では無いため、ほぼそう思っているだろうが、やはり本人達から直接聞かないことには確信出来ない。
じいさんにメイジが村にいると言っていたがそれが盗賊側か村人側かは言ってなかった。
もしかしたら盗賊とそのメイジが仲間割れを起こしたのかもしれないという考えもいれてたから、フードに対し若干の不安を持っていた。
しかし俺も同じことを聞こうとしていただけに今の質問で100%コイツが盗賊側から見た敵だと確信した。
「俺も同じことを聞こうとしていた。」
それを聞くとフードは安心したのか、緊張が無くなり杖を持つ手が下がった。
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