五章 異世界実戦チュートリアル

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「んっ…んんっ…!」 咽を軽くならし、準備を調える。 少しでもいいからここから離れた盗賊達の状況を知りたい。 今から使う技は周囲の状況を詳しく調べたい時に便利な技である。 イメージ… 咽…声…音波…反響…探査… 「【エコーロケーション 反響マップ】」 ソナーというものを知っているだろうか? いわゆる反響定位と呼ばれる現象で装置から超音波を発信し、対象物に音波を当ててその反響により返ってきた信号で周囲の状況を詳しく知ることが出来る装置だ。 この場合の音波の発信源、装置は俺で今俺の立っている場所からある程度の範囲を村、盗賊や村人、建物が対象物というわけだ。 返ってきた信号により村の図が頭に浮かび上がってくる。 盗賊が逃げた方からは距離はまだあるが複数の反応を感じる。 反応からして人数が増えたのは一人だけ。 盗賊たちは仲間のメイジだけを呼び寄せたみたいだ。 村の直ぐ外回りにたくさんの人間の反応を感じるが恐らく村人達だろうと判断する。 そしてこの村の中央には円上の広場がある。 そこで盗賊たちを向かえ討つか。 広場に向かって駆け出した俺だが、後ろでフードとケルの発した言葉は耳に入らなかった。 「不思議な人だね。 君のご主人様は。」 「クゥゥン…」
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