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『女になったんだ。よかったね』
人が何をやろうが関係ない、人が死のうが生きようが明日も地球は回ってる。とまらなければ。
「…よかったとは思わない。けど。男ではいられなかったんだよ。」
たかしは、机の上を片付けながら答えた。
「わかるかな。男ではいられなかったんだよ。」
私は雑誌を読みながらごろごろ転がった。二回も言うな。
『さっぱりだね。もう少し分かるように説明できないかな』
雑誌に集中が出来ない。原因はすぐに判った。雑誌の内容かたかしの二択だ。私は集中できない原因の犯人を雑誌に決めた。
「家の親父は駄目親父だったって言ったろ。そんな親父を見て男らしさなんて手に入るとおもう?」
『いるだけいいんじゃないの。』
そう吐き捨てた。
この感情を言葉でどう言えばいいのか。一言で言えばそう。「苛つく」だ。
ふたことで言えば…そう…
「いないほうが良かったよ。母親が毎日親父に怒るんだ。その愚痴は誰が聞くと思う。俺だよ。いや私か。どっちでもいいけど。
少しは男らしく。頼れる男になれってさ。子供かよ。」
何を言っているかよくわかりませんが、続きを聞いてみましょう。
『でも。離婚してないんでしょ。』
「ああ。母親の優しさなんじゃないのかな。こんな駄目だ人を守れるのは自分しかいないって。。さ。そんなことより少しは働けよな。」
たかしが机の上に料理を運んだ。
バターで炒めたアサリのパスタ。
ほうれん草の胡麻和え。
ツナとレタスのサラダ。
まぁあり合わせで作ったには合格点と言った所か…食べてやってもいいと思った。
「ああ。準備いいぞ。食べろよ」
『今食欲無いんだ。悪いね』
そう言えばダイエット中なんだった。
私は雑誌を適当に放り投げた。雑誌を片付けるのはどうせたかしの仕事だ。犯人は宙を舞った、いや、逃げ切れたのか。
「ふーん。そうか。あ。そういえば。あとで墓参り行くぞ。」
『は?』
聞いて無い。覚えてないということは聞いて無い事に間違いない。
「ああ。親父。亡くなったんだよ。親父。葬儀はもう終わった。少し前だけどね」
たかしは食事をぺろりと平らげると出かける準備を始めた。
着る服は緑色のワンピース。着替える際、ブラジャーが見えた。ましなほうに山が当たった。
「準備いいか」
『注射じゃなかったんだね。大丈夫。こんな感じの服でもかまわないでしょ』
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