死せる乙女 その手には水月

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スコルピウスにとってミーシャは邪魔だった 何故なら王族だったから お前等3人が生まれなければ、私が王であったのに… ミーシャが星女神の巫女だというのをスコルピウスは既に知っていた そんな彼の脳裏を、生贄という因習がかすめた 先日の戦時は多大な犠牲を出した あの地の守り神、ヒュドラはかなりお怒りだろう… だったら神聖なる巫女を生贄に捧げればよい 誰も反対などせぬだろう 邪魔者も排除でき、ヒュドラの怒りも収まる またとない好都合だ ━━━━━ 神への供物 生贄という名の因習 あの時、捕まった時 こうなることは知っていた けれど、自分が犠牲になることで周りが救われるのなら、私は犠牲になる道を選びましょう 『ごめんね、エレフ』 ミーシャは呟いた 自分が死んだ後、エレフはどのような道を歩いていくのか、ミーシャには分かっていたから
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