死せる乙女 その手には水月

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『ヒュドラよ、受け取り給え…』 その瞬間、ミーシャはハッとした 『この声は…』 スコルピウスの振り下ろした刃は、ミーシャを切り裂く この声は… 忘れる訳がない お父さんとお母さんを奪ったあの男 バランスを崩したミーシャはそのまま池へおちていった エレフ… 悲しまないでね 過ぎ去りし日も、運命の贈り物 さようなら…これでお別れね ━━━━ 騒乱後の星女神殿 1人の来客者があった 彼は、ミーシャと言う少女の行方を聞いた ソフィアは悲しそうに、若者に告げた ミーシャが連れ去られた事実を それを聞いた若者は、悲しそうで怒りのこもった顔をしてから走りさっていった だが、彼がついた時には既に遅く… 池にはミーシャが浮いていた 右手は水面に映った月に重なりあっていて、まるで月を掴んでいるかのよう… 『うわぁぁぁぁぁぁあああ!』 彼はその場にしゃがみ、落ちていたミーシャのマント抱きしめた 烈しい痛み… まるで心を引き裂かれたような ずっと探してたんだよ この悲しみは何に例えればいい…? 水に浮かぶミーシャはとても綺麗だった やっと会えたのに… もうお別れなんだね さようなら… エレフの頭をかすめるのは、あの懐かしい記憶 《ずっと一緒にいようね》 《うん、いようね!》 《ミーシャ!》 《エレフ!》 ━星女神殿━ 巫女の死を知った女神は憤怒した そして、神域を犯せし賊に神罰を与える為、寵愛する勇者に弓矢を授けた その勇者とは、オリオン
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