運命的な出逢い

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「…ちくしょう」 俺は閑静な住宅街を歩きながら呟いた。 あーイライラする。 世間の風当たりの冷たさにさることながら家族からの扱いの酷さにだ。 特に妹と母親だ…今は3月、一応現役中学3年生の俺は受験シーズンの真っ只中にいるはずなのに、いきなり居間でテレビを見ていた妹には 「お兄ちゃんピノ買ってきて~」 と命令をうけ、それを拒否すれば妹は台所にいる母親に泣きついて(嘘泣き) 「お兄ちゃんがパシってくれないー…うわーん」 と色々ツッコミどころ満載なセリフをぶちかまし、それを聞いた母親は母親で 「あらまぁ、可哀想に…真琴?お兄ちゃんなんだから妹の言うこと聞いてあげなさい!あ、ちなみに、私はシュークリームでいいわよ、なかったらエクレアでも可よ」 とそろそろ頭にガタがきてるんじゃないかと本気で心配になる発言を連発してくるし、説得を諦めて母親のありがたい言葉を右から左へ超特急させて無視していたら急に近づいてきて耳元で 「真琴?買ってこなかったらこずかい減らすわよ?」 と悪魔の囁きを受けた次第で、結局俺は泣く泣くコンビニまでパシらされることになったわけだ。 くそっ中学生の弱点である金銭的な話しを出されたらそりゃ従うしかないだろ…特にこれから春休みになるわけで、友達(女子)とキャッキャウフフなことをするためにこずかいの削減はなるべく回避しなければいけないわけで…さすがクリーチャー(母親)15年間一緒に生きてきたのは伊達じゃない。的確に惜しげもなく俺の弱みを使ってきやがる。 まぁ、唯一の救いは受験シーズン真っ只中でも俺が推薦入試のおかげで既に学校が決まってるってことだ。  
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