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スッカラカンになった財布をポケットにしまい、途方にくれるようにパチンコ屋を出ると、三月の冷たい風が身にしみる。
被災地の方の事を思えば、帰る家があるだけましか。今日は妻を抱いて寝よう。足りるを知る。
そう思ったその時だった。風が強く吹き抜けたかと思うと突然、声がした。
姿、形は見えずともハッキリとした声だった。
「おい、お前!」
おいおい、まさかカツアゲじゃないだろうな?三十過ぎの俺にしてみたらオヤジ狩りか?聞き覚えのないその声は俺を不安にさせた。
まあ、財布には一円も入ってないのだけれど。
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