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「お前の担当地区、先月から売り上げ下がりっぱなしじゃないかよ!ちゃんと仕事してんのか?」 帰宅途中、信号待ちの車内で上司の言葉を思い出した。握ったハンドルが汗で湿り気を帯びる。 「ふざけんじゃねえ」 俺は信号が赤から青へ変わるとアクセルを力任せに踏んだ。 「日本が大災害にみまわれてんのに売り上げの事なんて気にしてんじゃねーよ!被災地じゃなければ対岸の火事かよ!」 車がブンブンと唸りをあげる。俺はウィンカーを叩きつけるように点灯させ、国道沿いのコンビニに車を寄せた。
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