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「見つけた、信条悠貴…でも、本当に彼なのかな…」
誰に言うのでもなく、紗耶はそう呟いていた。
やはりその表情は冷酷で、まるで人としての感情を持っていないようだった。
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「早速授業に移る」
入学式から数日経ったある日、担任の黒田和博が相変わらず威圧するような雰囲気を漂わせながらそう言った。
黒田が担当するのは魔法の実技。
演習場に移動していた悠貴達は担任の言葉に耳を傾けていた。
入学式をしたホールの半分くらいの大きさの演習場に黒田の声が響く。
「最初にやるのは魔法の基本だ」
黒田はそう言って手の平に魔力の玉を作り出す。
魔力で出来たそれは火の玉のように薄いオレンジ色をしていた。
「このように魔力を練って具現化する。全員が既に出来ると思うが今日はもう一度確認の意味でやるからな、よし、早速散らばってやってみろ」
全員が散らばった頃、悠貴は紗耶から猛烈な視線を感じていた。
ひょっとして俺に気があるのか!?
授業などそっちのけでそんなことを考える悠貴。
その紗耶はと言うと、
…?
明らかに挙動不審な悠貴に対し疑問を抱いていた。
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