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「クソッ!なんて頑丈な氷なんだっ!」
そんな声がどこからか聞こえてくる。
他も同じような心境なのか、氷を砕こうと躍起になっている。
「悠貴君!」
そんな時、何もせずに突っ立っている悠貴に一人の男子生徒が声をかける。
欠伸をしていた悠貴は目だけを向ける。
「やらないの?」
その男子、井端宏介【いばたこうすけ】は悠貴に興味があるようだった。
170センチくらいの身長で少し痩せ型。おっとりとした表情が印象的でとても人が良さそうな男子生徒だ。
「うん、どうせ俺砕けないし」
「嘘だぁ、あんなに綺麗に魔力を練る人初めて見たよ?」
宏介は悠貴なら出来ると思っているらしい。
「ホントだって、やってみる?」
その言葉に宏介は嬉しそうに頷く。
悠貴は片手を前にかざす。
他の生徒達もそれに気づき、悠貴は全員に注目される。
「…一応言っておくけど、俺本気でやるからね?」
そんな言葉に全員が息を呑む。
紗耶は訝しげにその様子を見ていた。
「じゃあいくよ?」
悠貴はそう言って片手に魔力を集中させ、魔法を放った。
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