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「悠貴って本当にバカだよね…」
呆れたようにそう言う愛は軽くため息をつく。
「ば、バカだとぉっ!?神が作ったこの天才に向かって何てことをっ!今頃天界では神が怒り狂ってることだろう!」
「はいはい、分かったから」
愛は面倒くさそうに言葉を返す。
「分かったなら許してやる」
うんうん、と腕を組みながら悠貴は頷く。
「バカ」
しかし横からそんな言葉が聞こえてくる。
由美子だ。
「バカ悠貴のバカ!」
「バカはお前だ!」
バカを連呼する由美子に悠貴は再び声を張り上げる。
「何してんだよ…」
章が少し呆れたように呟く。
いがみ合う二人は変顔で張り合っている。
いくらなんでも張り合うレベルが低すぎないだろうか。
「っ!ちょっとみんな!」
そんな中、ほとんど空気だった井端宏介が焦ったような様子で悠貴達を静かにさせる。
おっとりした宏介のそんな雰囲気を初めて見た悠貴もさすがに静かになるのだった。
「あれ…」
宏介が指を差す。
見ると生徒の部屋全てにある鏡が青白く光っていた。
非常時のサインだ。
「ウソッ!?」
「待てっ!」
逃げ出そうとする由美子を章が制する。
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