634人が本棚に入れています
本棚に追加
悠貴は地震虫と対峙する。
腰に差していたナイフを手に取り、地震虫に向ける。
「悠貴君、気をつけて…」
由美子は不安そうにそう言う。
悠貴は何も答えずに地震虫を睨みつける。
二本の触手と紅い目、そして黒い胴体はゴキブリに似ていた。
群れをなしている時だけだが地震虫は名の通り大きな地震を引き起こすのだ。
だが一匹とはいえ油断は出来ない。
悠貴は身構え、そして一気に切り掛かった。
キィィィィッ!!
鳴き声を上げる地震虫。
悠貴が一瞬でナイフを突き刺したのだ。
悠貴はまだ生きているため、もう一度切り掛かろうと構える。
「待って」
しかし後ろからそんな声がかかった為に中断した。
っ!?この声はっ…!
悠貴は勢いよく振り返る。
声の主は紗耶だった。
悠貴は目がハートになっている。
「私に任せて」
そう言う紗耶は地震虫の真上に闇を出現させた。
すると地震虫はそれに吸い込まれていく。
まるで小さなブラックホールだ。
そしてしばらくするとそこにはガラスの破片以外には何もなくなってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!