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入学式が行われたホール。
魔物騒ぎで学園中の生徒が集まっていた。
「悠貴君って意外と素早いんだね…」
先程の地震虫と戦った時のことだろう。
宏介が感心したような、そんな眼差しを悠貴に向ける。
「魔力使ってないんでしょ?」
悠貴は自慢気に頷く。
宏介が言いたいのは身体に上手く魔力を巡らせることで身体能力を高める方法のことだろう。
「それにしてもどうして叫鳥が…?」
愛が小さく呟く。
色素が薄い愛の瞳には明らかな不安が見て取れた。
叫鳥はレベルの高い魔物だ。
「それが問題なんだよな…」
「っ!兄ちゃん!」
悠貴の兄、直貴が会話に入って来た。
「に、兄ちゃん!?悠貴って直貴さんの弟だったの!?」
愛は目を見開きながら悠貴に迫る。
「んだよ、そんなに驚くことじゃないだろ?」
「いやいや、普通驚くよ!悠貴君なんかと直貴さんが血が繋がってるなんて信じられないもん!」
愛と同じように驚く由美子はものすごく失礼な言い方をする。
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