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「…は、犯罪組織…?」
その言葉に章が驚いたような反応を見せる。
ずっと黙っていた紗耶でさえ反応を見せた。
「何を狙っているかは分からないが、この学園に目的があることはまず間違いない」
「兄ちゃん何でそんなこと知ってんの?」
「単なる噂だ」
直貴が答えた、そんな時だった。
っ!?
「地震だ!」
ガタガタとホールの中が大きく揺れる。
悠貴達はその場に立っていられなかった。
「っ!地震虫かっ!?」
章がよろける由美子を支えながら叫ぶ。
「いや、地震虫はもう黒田先生達が殲滅したって言ってたよ!」
宏介も床に伏せながら章にそう言う。
「じゃあどうして……っ!?」
ホールが一瞬にして静かになる。
「と、止まった?」
誰かがそう言った。
それを皮切りにホールが騒がしくなる。
魔物の被害で村や町が壊滅に追い込まれたこともある。
学園の生徒達の表情には不安の色が浮かんでいた。
【静かにしろ】
そんな時、無慈悲な声が響く。
生徒達はそれが黒田の声だと分かると口を閉ざした。
【魔物は全て駆除した。生徒は全員自分の部屋に戻れ】
「え?地震があったばっかりなのに?」
章が驚いたようにそう言う。
他の生徒も例外ではなく、黒田の指示に疑問を持つ。
【学園長が駆除した、心配するな】
しかし有無を言わせぬような黒田の言葉に全員が従わざるをえないのだった。
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