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「あなた…」
うっすらと目を開けている妻は小さく夫を呼ぶ。
「しっかりしろっ!」
男は傷を癒そうと試みるが魔法も使えなくなっている。
侵入者達が男の動きと魔法を封じていたのだ。
「くそぉっ!」
男は動かなくなってしまった妻を見つめる。
妻は目を閉じ、苦痛に顔を歪めたような表情で息を引き取っていた。
「うぁぁああっ!」
悲しみのあまり、大声を上げる男。
そしてついに男はどこかへと飛ばされてしまった。
静かになった部屋の中では侵入していた者達が集まっていた。
どこに隠れていたのか。
全部で6人も居る。
「任務完了」
冷酷にそう言い放つ侵入者。
その声は男性のものだった。
侵入者は覆面をとる。
やはり覆面を被っていた侵入者は男だった。
だが意外にもその男は初老の顔付きをしていた。
そして侵入者達は夜の闇に消えて行く。
部屋の中には妻の亡骸だけが残されていた。
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