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少年は重そうな荷物を抱えながら歩いていた。
「やっと着いた…」
そして大きな建物の前で止まると、疲れたような声でそう呟くいた。
彼の名前は信条悠貴【しんじょうゆうき】十五歳。
今日から魔法学園に通う一年生だ。
170後半くらいの身長でがっしりとまではいかないが、引き締まった体をしていた。
ぼんやりとした二重まぶたに耳に少しかかる程度の髪型。
その表情は冴えず、新入生らしい初々しさは全く感じられない。
悠貴は新入生の受け入れ場に行って荷物を一旦全て預ける。
受け入れ場は他の新入生のものもあり、荷物で溢れていた。
悠貴は楽になった肩を回しながら周囲を見渡す。
するとすぐ近くに椅子や机、自動販売機が備え付けられている休憩所を見付けた。
休憩所には悠貴と同じ新入生が数人居たが、近づく悠貴には特に興味を示さなかった。
「悠貴!」
そんな悠貴に後ろから声が掛かる。
悠貴は反射的に振り返った。
「っうわ!」
いきなり缶ジュースがとんでくる。
悠貴は慌ててキャッチした。
「クスッ!よう!」
「っ!?兄ちゃん!」
「久しぶりだな!」
悠貴の兄、直貴【なおき】がゆっくりと近づいてくる。
直貴は三つ年上の四年生だ。
彼は強力な魔力を持ち、この学園の中では有名な存在だった。
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