追憶は霞のように

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  重い。苦しい。悲しい。こんなものがなければ、きっと人はずっーと明るく生きていける。 こんなもの? それは感情? 違う。感情がないと楽しいって気持ちを抱くことはできない。 じゃあ身体? 違う。もっと限定した何か──。 そう。記憶。思い出。過去。 辛苦を糾う繊維は経験より出でて、喜楽を制約せし繊維も経験より現れる。 幼子と大人を比べれば一目瞭然。 なんだこのいらないものは。 捨てよう。これって燃えるかな? 物理的に存在しないから、やっぱり不燃物? どうでもいい。 路上に捨て置かれた空き缶のように、踏み潰して放置された煙草の吸い殻みたいに、そこらへんに適当に捨ててしまえばいい。 きっと誰かが片付ける。 そうと決まれば早速不法投棄しちゃおう。 ポーイ!  
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