11人が本棚に入れています
本棚に追加
妻と子が先に長安を発ってから、子美は霊武の粛宗の元へ向かっていた。
しかしその途中、都長安を襲った安禄山の賊軍達に出くわす。
そうして長安に連れ戻され、捕らわれの身となった。
「……」
幾歳月が過ぎたことか。
これからどうなってしまうのか。
妻に会いたい。子供達に会いたい。まだ幼い娘はどうしているだろうか。憐れでならない。
子美は少し前に家族から届いた手紙を胸にそっとしまった。
何度も何度も読んだ手紙。すでにぼろぼろで、そんな手紙が傷ついてしまわないようそっと胸にしまう。
そうして子美は深呼吸し、長い時を家族と暮らした長安の町を見渡す。
最初のコメントを投稿しよう!