武器を手に

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 ――お前らは?  そんな意味を含んだシンの視線がオレとリオンに向けられる。別段嘘を吐く理由もないので首を縦に振っておいた。偶然にも、リオンと同じ動き、同じタイミングで。 「やっぱな。この様子だと多分エレナ達もだ」  何故か得意気な顔で語り出すシン。敵が目の前にいるというのにお構いなしだ。よって、軽く無視。 「オレが思うに、この現象は――」 「武器の能力がわかった。それでいいだろう」  付き合ってられないとばかりに、リオンは2体のガーゴイルに向かって駆け出す。それを見たエレナとセリスも表情を引き締め、オレもリオンを追って走り出した。  後方から、 「オレがカッコ良く語ってたのに!」  なんて叫びが聞こえてきたが、バカの戯言と切って捨てる。  リオンは片手を失ったガーゴイル、オレはもう1体という、当初から相手をしていた組み合わせで、敵に向かって真っ直ぐ駆ける。その途中、オレ達の間を1本の矢と2発の銃弾が通り抜けた。  何だ? と疑問を抱く。  後衛2人の攻撃の軌道上に敵はいない。それはそうだ。オレ達が走っている場所こそが、本来敵を狙う軌道の上なんだから。オレ達が体勢を低くすれば撃てないこともないんだが、今の技術でそれに挑戦するのはさすがのオレでも怖いものがある。  故に、この攻撃の意図がわからない。  ただ、先程までの会話から推測できるものがあった。  武器の能力だ。  
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