4033人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうかしたのかい?」
突然オレが後退したからだろう。エレナは心配そうにオレの身体を眺め、ジークは横目にこちらを見ながら声を掛けてくる。
「いや、シンが突っ込んでくる気配がしたから任せただけだよ。アイツも能力を確認したいだろうからな」
視線をガーゴイルに戻せば、敵の攻撃を躱したシンが横っ腹に拳を叩き込んだところだった。さすがにガーゴイル程度じゃシンの相手にはならないか。
援護はいらないと判断。代わりに自分の発言で先程の攻撃を思い出し、それを放った2人に直接訊ねてみることにした。
「そういやさっきの攻撃、2人共軌道が変わったけど、あれがお前達の武器の能力なのか?」
予想通り、2人は縦に首を振った。まぁ、どう考えてもそれしかないよな。
「ホーリーレイの能力は〈屈折〉。クラッドが言ったように、矢の軌道を曲げることができるの」
「オレのルーンスティアの能力もエレナと似たようなものだったんだ。〈操作〉。それがコイツの能力だよ」
〈屈折〉と〈操作〉。遠距離攻撃で軌道を変えられるのは確かな強みになるだろう。ただ、どんな能力も万能じゃない。今は気付かないにしても、必ず欠点が浮き上がってくるはずだ。それを見つけるのも大事だけど、今のところは武器を使いこなすのが当面の課題だな。
「なるほど。おっ、セリスも見せてくれそうだな」
何の気なしにリオンが相手をしているガーゴイルに視線を移せば、少し離れた場所でセリスが槍を構えていた。
最初のコメントを投稿しよう!