武器を手に

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 縦に一閃。  それに合わせ、手前のリオンも左から右へと横薙ぎに剣を振り払う。その直後、奥のリオンがオレから見て右から左へと剣を振るう。そうして再び手前のリオンが剣を振るい、彼らの猛攻に終わりが見えない。  奥と手前。2人のリオンが前後から交互に剣を振るう姿は、まさに鬼神の如く圧倒的だった。  やがて、漸くその猛攻も終わりを迎える。  奥にいるリオンによる心臓部への刺突。かろうじてわずかに抵抗していたガーゴイルも、剣先が左胸から突き出した途端、一瞬身体を震わせるやすぐに動かなくなった。  剣はすぐに引き抜かれ、支えがなくなったガーゴイルの身体は人形のように崩れ落ちる。その様を感情が読みづらい瞳で眺めるリオン達は、やがて手前の片方が景色と同化するように薄くなっていくことで視線を外した。  まるでそこには最初から何もいなかったかのように、綺麗に姿を消したリオンの分身。それがさっきまで立っていた場所を通り抜け、リオンがオレ達の下に戻ってくる。 「お疲れ様、リオン。凄かったけど、ちょっとやり過ぎじゃない?」  真っ先に声を掛けたのは当然セリスだ。 「自覚はしている。ただ、能力を試す上では仕方がなかった」  気のせいか、淡々と語るリオンはどこか不満気な……。いや、やっぱり気のせいか。 「それはそうと、リオン。お前の能力はやっぱり〈分身〉ってとこか?」  何気なく訊ねたのだが、何故かリオンは何かを思案するように沈黙し、少ししてから躊躇うように口を開いた。  
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