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「あまり情報を口にしたくはないが、お前のことだ、既に粗方のことは予想できているんだろう。ならば隠す必要もないか」
リオンは一度右手にある剣に視線を落とし、再度唇を震わせる。
「その通りだ。見ればわかったように、リヴァディスの能力は〈分身〉。本体――つまりオレの3割落ちの力を持った自分自身を出現させることができる」
なるほど。手を抜いていたということもあるんだろうけど、分身の動きが妙に遅く感じられたのはそういうことか。と言っても、7割のリオンでも十分厄介だけど……。
「少ない魔力で発動する上、分身が出現した際の気配も小さい。ただ、いろいろと難点もあるが、それは敢えて黙っておこう」
お前と戦うことになった時に不利だからな。と、リオンが不敵な笑みを浮かべる。対するオレも口元の緩みを抑えられなかった。
実はオレ達、1年前に授業の一環で試合をしたことがある。まぁ、その時はちゃんとした決着はつかなかったんだが……。その際に再戦の約束をして以来、あれから一度もリオンとは戦っていない。鋭いリオンのことだ、恐らくオレとの実力にまだ差があることを薄々感じているんだろう。これはオレの予想なんだが、その差が縮まるまでリオンが勝負を挑んでくることはないと思う。
だからこそ、コイツとの決着が楽しみだ。オレと戦う時、果たしてどこまで強くなってるんだろうか。
っとまぁ、決着云々は置いといて、これで残るガーゴイルはあと1体。オレ達はシンが相手をしているその1体に目を向ける。
「……うわぁ」
何というか、リオンに負けず劣らず、圧倒的だった。
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